BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)業界の市場規模は、2024年度に5兆円を突破し、今後も拡大が見込まれています。特にIT系BPOと非IT系BPOではセグメントごとに成長率が異なり、M&Aの動向にも大きな違いが生まれています。本記事では、矢野経済研究所やIDC Japanの最新調査データをもとに、BPO業界のセグメント別市場規模とM&A動向を徹底解説します。一文で言うと、IT系BPOが成長を牽引する中、M&Aによる事業再編が加速しているのが2026年のBPO業界の姿です。

BPO業界全体の市場規模【2024年度実績】

矢野経済研究所の調査によると、2024年度の国内BPOサービス全体の市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比4.0%増の5兆786億5,000万円と推計されています(出典:矢野経済研究所「BPO市場に関する調査(2025年)」)。

この5兆円という数字は、非IT系BPOとIT系BPOを合算したものです。BPO市場は2020年度以降、一貫して成長を続けており、コロナ禍を経てもなお拡大基調が維持されている点が特徴的です。

市場拡大の背景には、以下の要因があります。

・人手不足の深刻化:少子高齢化に伴う労働人口の減少により、企業がコア業務以外をBPOに委託するケースが増加
・働き方改革の推進:業務プロセスの見直しと効率化ニーズの高まり
・官公庁のBPO活用拡大:行政のデジタル化に伴い、公共分野でもBPOの活用が進展
・DX推進の加速:電子帳簿保存法の改正やインボイス制度への対応などにより、経理・会計業務のアウトソーシング需要が拡大

IT系BPOと非IT系BPOの市場規模比較

BPO市場は大きく「IT系BPO」と「非IT系BPO」の2つのセグメントに分類されます。2024年度の内訳を見ると、両者の成長率には明確な差が見られます。

IT系BPOの市場規模

IT系BPO市場は、2024年度に前年度比5.9%増の3兆1,220億円に達しました(出典:矢野経済研究所)。IT系BPOには、システム運用管理、データセンター運用、ヘルプデスク、ネットワーク管理といったITインフラに関わるアウトソーシングが含まれます。

成長率が高い理由は、クラウド移行の加速、サイバーセキュリティ対策の強化、そしてAI・生成AIを活用した業務効率化の需要が急拡大しているためです。企業が扱うデータ量が飛躍的に増加する中、専門性の高いIT系BPO企業への委託は今後も増え続けると予測されています。

非IT系BPOの市場規模

一方、非IT系BPO市場は、2024年度に前年度比1.0%増の1兆9,566億5,000万円でした(出典:矢野経済研究所)。非IT系BPOには、経理・会計、人事・給与計算、コールセンター、物流管理、受付・事務代行などの業務プロセスが含まれます。

成長率こそIT系と比べると緩やかですが、市場規模自体は約2兆円と依然として大きな市場です。特にコールセンター業務やバックオフィス業務の需要は底堅く、安定した市場を形成しています。

セグメント別の構成比

2024年度のBPO市場全体における構成比は、IT系BPOが約61.5%、非IT系BPOが約38.5%となっています。IT系BPOの構成比は年々上昇しており、今後もこの傾向は続くと見られています。

BPO業界のM&A動向【2026年の特徴】

BPO業界ではM&Aが活発に行われており、2026年現在もその動きは加速しています。特に注目すべき動向は以下の通りです。

IT系BPO領域でのM&Aが活発化

IT系BPO市場の高成長を背景に、ITインフラ管理やクラウド運用に強みを持つBPO企業の買収が増加しています。大手BPO企業がAIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の技術を持つスタートアップを取り込む事例も目立ちます。

たとえば、システム運用管理を専門とするBPO企業が、AI活用型のヘルプデスクサービスを提供するベンチャーを買収し、サービスの高付加価値化を図るケースが増えています。

中小BPO企業の事業承継型M&A

非IT系BPOの分野では、経営者の高齢化に伴う事業承継を目的としたM&Aが増加しています。特にコールセンターやデータ入力、事務代行を手がける中小企業において、後継者不在を理由に大手BPO企業への売却を選択するケースが見られます。

M&A総研の調査によると、2026年現在のM&A市場全体では、数千億円規模の大型買収よりも、数億円から数十億円規模のミドルサイズ案件が主流となっています(出典:M&A総研「国内M&A市場の展望・トレンドまとめ【2026年最新版】」)。BPO業界もこの傾向に沿っており、地域密着型のBPO企業の売買が活発です。

生成AI時代に対応するためのM&A

2025年から2026年にかけて、生成AI(Generative AI)を活用したBPOサービスの実用化に向けた動きが活発化しています。従来型のBPOサービスだけでは競争力を維持できないと考える企業が、AI技術を持つ企業を買収したり、AI活用に長けたBPO企業との統合を模索するケースが増えています。

IDC Japanの予測によると、国内BPOサービス市場は2024年から2029年までの年間平均成長率(CAGR)が4.1%で成長し、2029年には1兆2,169億円に達するとされています(出典:IDC Japan)。この成長を取り込むために、AI対応力をM&Aで強化する動きは今後さらに加速するでしょう。

BPO企業の経営者がM&Aを検討すべき理由

BPO業界の経営者にとって、M&Aは事業成長と事業承継の両面から重要な選択肢です。

売却を検討すべきタイミング

IT系BPO市場が急成長する中、技術対応が追いつかない企業は競争力を失うリスクがあります。特に、AI・クラウド・セキュリティ等の先端技術への投資が難しい中小BPO企業にとっては、大手企業のグループに入ることで技術力と顧客基盤を一気に強化できるメリットがあります。

また、非IT系BPOの分野では、人材確保の難しさや価格競争の激化が経営を圧迫しています。事業の将来性を冷静に見極め、企業価値が高い段階で売却を検討することが重要です。

買収を検討すべきポイント

一方、成長戦略としてM&Aを活用する場合は、自社にない技術やサービス領域を持つBPO企業を買収することで、サービスラインナップの拡充と市場シェアの拡大が可能です。特に、IT系と非IT系の両方のBPOサービスをワンストップで提供できる体制の構築は、顧客企業からの評価が高まる傾向にあります。

今後のBPO市場の見通し

矢野経済研究所の見通しでは、2025年度以降もBPOサービスの市場規模は堅調に推移していく見込みです。2027年度にはBPO市場全体で5兆5,702億円に達すると予測されています。

成長を牽引するのは引き続きIT系BPOですが、非IT系BPOも生成AIの導入によるサービスの高度化が進むことで、新たな成長の機会が生まれると考えられています。

BPO業界のM&Aは、単なる規模拡大だけでなく、技術獲得・人材確保・サービス多角化といった戦略的な目的で行われるケースが増えています。経営者にとっては、自社の強みと市場動向を照らし合わせ、最適なタイミングでM&Aを実行することが成功の鍵となります。

まとめ

BPO業界の市場規模は2024年度に5兆786億円を突破し、IT系BPO(3兆1,220億円、前年比5.9%増)が成長を牽引しています。非IT系BPO(1兆9,567億円、前年比1.0%増)は安定成長を維持しつつも、IT系との成長率格差が広がっています。M&Aでは、AI技術獲得を目的とした買収や中小企業の事業承継案件が増加中です。一文で言うと、BPO業界は「IT×AI」を軸としたM&Aによる業界再編が加速する転換期にあります。

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著者:株式会社M&A Do 代表取締役 濱田啓揮

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